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粉飾決算に手を染めるな!?

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2022.07.15

粉飾決算は、売上や経費、借入金、資産などを不正に操作することによって、貸借対照表や損益計算書などの決算書を改ざんし、財務状況や経営状態を実際よりも良く、あるいは悪く見せる行為のことを指します。

決算の粉飾は、会社法や商法にも抵触するれっきとした違法行為です。

粉飾の事実が明らかになれば、金融機関からの新規借入が困難になるどころか、一括での返済を求められることもあり得ます。

決算を粉飾することのリスクについて、見ていきましょう。

粉飾決算の恐ろしさ

そもそも、決算を粉飾する理由とはいったい何でしょうか?

中小事業者が粉飾に手を染める理由は、そのほとんどが金融機関からお金を借りるためです。

経営状態が思わしくなければ融資条件が厳しくなることも考えられ、最悪の場合は融資そのものが打ち切りとなるケースもあり得ます。

そこで粉飾に手を染めるようになってしまうわけです。

粉飾決算の代償とは?

ただし、粉飾決算が明るみに出たときの代償はあまりにも大きいです。

会社法上の過料・制裁に加え、法人資産を流出させたことによる刑事罰、金融機関や取引先からの損害賠償請求などが待ち構えているからです。

不正確な決算書のせいで融資判断を誤ったとして、金融機関に訴えられてしまう可能性もゼロではありません。

また、粉飾の多くは利益を多く見せる行為であるため、税務署には本来より多くの儲けを申告していることになります。

つまり、税金を過大に納付している状況にあります。

もし粉飾決算がバレてしまった場合、経営者としては、納め過ぎた税金を少しでも早く取り戻したいところですよね。

ところが、粉飾によって納め過ぎた分の還付請求は、すぐには認められないことになっています。

通常ならば、税金の過大納付分は国税当局が定める手順を踏めばすぐに還付を受けられます。

しかし、決算を粉飾した事業者にもこのルールを適用してしまうと、利益を本来より上積みした決算書を作って金融機関から有利な融資を受け、その後に税務署に請求して還付金を受け取る、といった裏技!?が使えることになってしまいます。

そのため、粉飾などの仮装経理をした事業者に限っては、納め過ぎた分をすぐには還付せず、5年程度で徐々に戻すというルールが適用されるのです。

粉飾決算を見つけたときの銀行の対応とは?

金融機関は粉飾決算を見つけたとしても、指摘してくれるとは限りません。

「あなた粉飾してますよね?」などとは聞かず、むしろ黙っていることの方が多いかもしれません。

金融機関としては、粉飾決算を指摘することによって顧客が逆ギレするのを恐れています。

わざわざ顧客を怒らせることはせずに、ただ黙ってお金を貸さなくなっていきます。

金融機関が何も言って来ないことをいいことに、「金融機関なんて簡単に騙せる!」と調子に乗っていると、のちに痛い目に遭うことになります。

粉飾決算に手を染めると抜け出せない!?

粉飾決算は、一度でも手を染めると抜け出せなくなる魔力を持ちます。

経費削減などの経営改善努力をすることもなく、棚卸資産を上積みしたり、売上を前倒しで計上したりすることによって、一瞬で決算書を黒字にすることは可能です。

それに味をしめてしまったが最後、経営改善のために努力するのがバカらしくなってしまうので、粉飾というのは恐ろしいのです。

粉飾の事実が明るみに出れば、信用低下で新規の借入が困難になり、繰上返済を求められることにもなりかねません。

粉飾決算から抜け出せなくなる理由

では、なぜ粉飾決算に手を染めてしまうと、なかなか抜け出せなくなってしまうのでしょうか?

架空の売上を計上することによって利益が出たように見せかけると、将来の決算にも影響していきます。

次年度の決算を「正しいもの」に戻すためには、粉飾した以上の「本当の売上」が必要になります。

そもそも、売上不振であるために粉飾したのですから、そう簡単に売上増となるわけがありません。

結果として、さらに粉飾を続けることになってしまいます。

粉飾決算から抜け出す方法

では、粉飾決算から抜け出すためには、どうしたら良いのでしょうか?

粉飾決算から抜け出す第一歩として、赤字決算を金融機関に報告する勇気を持つべきです。

赤字の原因やその経緯を具体的に説明するべきなのです。

「金融機関に赤字を報告したら、融資をしてもらえなくなるのでは?」と不安に思う経営者も多いのですが、そんなことはありません。

前年度の失敗を分析し、新しい事業年度に向けてすでにスタートを切っているという姿勢を、金融機関にアピールすればよいのです。

決算報告の際に金融機関がツッコミを入れてきそうなポイントとしては、前期との比較で変動幅が大きい勘定科目が挙げられますが、広告宣伝費や人件費など、先行投資で増えた費用科目があれば、しっかり事業戦略を説明するべきです。

そもそも決算報告は、赤字・黒字にかかわらず、毎年の決算期にしておくことが望ましいでしょう。

本日のまとめ

いかがだったでしょうか?

粉飾決算が露呈すると、金融機関の信用を失うだけではなく、多く納めた税金もなかなか返してもらえません。

取引先も従業員も離れていきます。

その場をしのぐことができたとしても、結局は事業そのものの寿命を縮めることになってしまいます。

くれぐれも粉飾決算に手を染めないようにしましょう。

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