必要経費をあえて10%削る!?
令和4年分の確定申告シーズンがいよいよ到来しました。
この時期になると、確定申告についてのご相談が一気に増えてきます。
本日は、そんな確定申告におけるさまざまな疑問の中から、「必要経費をあえて削る効果」についてお話ししたいと思います。
税務調査の選定先はどうやって選ぶ?
結論からお話ししますと、必要経費をあえて10%削るのはおススメです。
なぜなら、税務調査に入られにくくなりますし、たとえ入られたとしても反論しやすくなるからです。
税務調査の選定先の選び方はさまざまあるのですが、例えば、青色決算書の「減価償却費の計算」のところに乗用車が載っていて、事業専用割合が100%だったとします。
調査官がこのような決算書を見つけた場合、調査先に選ぶ一つの誘因となります。
それは、「車を事業に使っているのは事実だとしても、プライベートでも少しくらいは使っているだろう」と疑うからです。
つまり、調査官としては税務調査で否認できるものと思って調査先に選定することになります。
これがもし、事業専用割合を90%(つまり10%だけ自己否認)にしていたらどうでしょうか?
調査官としては、必要経費を削るという調査がしづらくなるので、調査先に選定するのを嫌がるのです。
自己否認を決算書で伝えるためには?
上記の自動車であれば、決算書上に減価償却資産として載っているので、調査官も見たら分かります。
では、接待交際費や家賃、交通費など、決算書上で否認割合が明示されない科目の場合は、どうすればよいのでしょうか?
じつは、青色決算書の3ページ目の右下に、「本年中における特殊事情」という欄があります。
このような場合には、その欄に自己否認割合を明記しておけばよいのです。
たとえば、「地代家賃のうち、〇〇%は家事関連費として計算し、必要経費には算入していません」のような感じです。
このようにすれば、調査先の選定段階で調査官が特殊事情欄を読み、調査に入る意欲が薄れます。
もし税務調査に入られたら?
上記の自己否認を行ったとしても、あくまでも予防線に過ぎませんので、税務調査に入られることはあります。(そもそも別な観点からの調査だってあります。)
ただし税務調査に入られたとしても、必要経費について否認指摘は受けにくく、仮に否認指摘されたとしても反論しやすくなります。
100%を必要経費としてしまうと、調査官に「100%事業に使っているわけないですよね!?」と突っ込まれてしまいます。
こうなると、反論するのは難しいですよね。
否認されるのを前提に、あとは何%を削るかという交渉にしかなりません。
では、10%を自己否認(事業共用割合を90%)していた場合はどうでしょうか?
税務署から「90%も必要経費ではないでしょう!?」と仮に指摘されたとしても、「じゃあ何%が適正だというんですか?」と反論することができます。
調査官が「〇〇%ですよ!」と指摘するためには、その立証責任は調査官側にあり、その根拠を明示しなければなりません。
こうなると、調査官も安易に割合を言うことができなくなるわけです。
本日のまとめ
いかがだったでしょうか?
所得税の調査でもっとも簡単な否認方法は、必要経費を削ることです。
であれば、先にこちらから削っておくことで、税務調査の予防や反論に役立ちます。
たった10%でも必要経費を削っておくことで、調査に入られにくく、仮に入られても反論することが簡単になるのです。
「個人なんて滅多に税務調査なんか入らないでしょ?」
「ワシは税金を多めに払うのが嫌じゃ!」
という人以外は、ぜひお試しください。