やっちゃいけない!?資金使途違反
企業から融資の申し込みがあった場合、銀行員が最も重視することは何だと思いますか?
「いくら借りてくれるんだろう?」
「ちゃんと返してもらえるかな?」
といったことも当然考えるでしょう。
ただその前に、「そもそも何に使うの?」ということを考えるはずです。
銀行員が最も重視するのが、いわゆる「資金使途」なのです。
銀行から融資を受ける場合は「資金使途」を明確にすること
私たちの日常においても資金使途は重要です。
例えば、友人から「お金を貸して!」と相談された場合、「何に使うの?」と真っ先に聞くはずです。
そこで、「パチンコに使うから・・・」と言われても、「貸すわけねーだろ!」となりますよね。
銀行から借入を行う場合、「資金使途」を明確にしなければなりません。
資金使途には、大きく「設備資金」と「運転資金」の2つがあります。
借入申込書にも、まずここを記入させる欄がありますよね。
銀行は「資金使途違反」を最も嫌う
「設備資金」と「運転資金」を違えてはいけません。
つまり、「設備資金」と言っておきながら経営赤字の補てんに充てたり、「運転資金」と言っておきながら社長の自宅購入の頭金に充てたり・・・などです。
銀行員は、この「資金使途違反」を最も嫌うので、絶対にやってはいけません。
かつては、設備資金を運転資金に流用するケースが多々ありました。
最近は、設備資金の融資の際、見積書や契約書を銀行へ提出し、融資をしたらすぐに振り込みをさせるといった流れになっています。
もしくは、支払いそのものを銀行が行うこともあります。
「資金使途違反」のよくあるケースとは?
資金使途違反としてよくあるケースを、2つ紹介しましょう。
1つは、業者に高い見積書を作らせ、その金額を一旦支払い、後日差額をバックしてもらうようなやり方です。
要するに、設備資金として多めに融資を引っぱり、余ったお金を運転資金に充てるということです。
もう1つは、事業資金として借りたお金を、経営者本人やグループ会社に貸し付けてしまう事例です。
銀行とすれば、その会社に融資をしたのであって、経営者やグループ会社に融資をしたわけではないのです。
「資金使途違反」があった場合の銀行の対応
では、実際に資金使途違反があった場合、銀行はどのような対応をとるのでしょうか?
契約上は一括返済を求めることができますが、じつは、そのようなケースは意外と少ないようです。
その背景には、地銀や信金の営業上のリスクへの懸念があります。
地銀や信金にとって、「風評被害」は大敵です。
「一括返済を求められた」などの変な風評を営業地域に流されてしまったら、そのエリアでは営業できなくなるからです。
そこで、銀行が採る方法はズバリ「何も言わずに貸さなくなる」です。
ごく一部の優良企業ならば、気づかないフリをしてくれたり柔らかく指摘してくれたりもしますが、一般的な企業であれば、だんだんフェードアウトしていき、気がついたときには貸してもらえなくなるでしょう。
保証協会付融資での「資金使途違反」はさらに深刻!?
最後にもう一つ、保証協会付融資を受けている場合には、資金使途違反はさらに深刻です。
全国信用保証協会は、融資の返済ができなくなった場合に、皆さんに代わって返済をしてくれる組織です。
あくまでも「代位弁済」といって立て替えて返済してくれるだけなので、全国信用保証協会への返済は必要です。
この保証協会は、資金使途違反による役員貸付などを、銀行以上に嫌います。
さらに恐ろしいことは、保証協会は全国で繋がっているので、ある地域の保証協会で資金使途違反がバレてしまうと、たちまち「全国に指名手配」がなされてしまうのです。
本日のまとめ
いかがだったでしょうか?
銀行から借りたお金を経営者に貸し付けるケースは、意図していなくても、けっこう起きやすいものです。
しかし、銀行員は財務諸表を見るプロですから、一瞬で見破ります。
くれぐれもお気をつけください。