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お寺に寄付すると節税になる?

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2022.02.09

ひと昔前に比べると、確定申告での「寄付金控除」は非常に増えました。

と言っても、ほとんどが「ふるさと納税」ですが。

みなさんがふるさと納税をする目的は何ですか?

「生まれ育ったふるさとに少しでも恩返しがしたい!」という思いで寄付をする人もいるでしょうが、背後に控えるのは、やはり「返礼品」ですよね。

実質2,000円の負担で日本全国の名産品を味わえるのですから、やらない手はありません。

本日は、そんな「ふるさと納税」のお話ではなく、純粋な!?寄付のお話です。

寄付をする場面でかかる税金はさまざま!?

例えば、テーマにあるような、「お寺に寄付すると税金が安くなるの?」といった質問を受けることがあります。

ただし、この質問は不完全です。

そもそも「税金」って何でしょうか?

所得税?消費税?・・・まさかの入湯税?(温泉に入るときにかかる税金です。)

冗談はともかく、何の税金の話かが分からないと、答えようがありません。

じつは、寄付をするシチュエーションによって、かかる税金や取扱いが異なるのです。

シチュエーションとして、次の3つの場合を考えてみましょう。

①生前にお寺に寄付をした。
②お寺に寄付をする旨の遺言を遺し、亡くなった。
③相続人が、遺産の一部をお寺に寄付した。

ケース① 生前にお寺に寄付をした

まず、関係する税金は「所得税」です。

生前に寄付をしたのですから、冒頭にもお話しした「寄付金控除」が使えそうです。

ただし、この場合には使えません。(厳密に言うと、「絶対に使えない」とまでは言い切れませんが。)

寄付金控除の対象となるのは、その寄付先が、国や地方公共団体、公益を目的とする事業を行う法人又は団体、認定NPO法人・・・などです。

お寺のような宗教法人は、残念ながら寄付金控除の対象とはなりません。

ケース② お寺に寄付をする旨の遺言を遺し、亡くなった

この場合、関係する税金は「所得税」と「相続税」です。

ただし、所得税については、①の場合と同じで「寄付金控除」は使えません。

生前に寄付をしようが、遺言によって寄付をしようが、お寺のような宗教法人は寄付金控除の対象とはならないのです。

では、「相続税」についてはどうでしょうか?

じつは、けっこう間違った認識を持っている方が多いです。

所得税と同じで、「お寺のような宗教法人に寄付をしても、相続税は安くならない」と思っている方が多いようです。

ところが、相続税は個人に対してのみかかるので、遺言により法人に財産を遺贈したとしても、法人には相続税はかからないのです。(株式会社の場合、受増益による「法人税」がかかります。)

結果的に、相続財産は遺贈分だけ減少し、相続税は安くなります。

ちなみに、上記はあくまでも原則的な取扱いであって、次のように良からぬことを考える輩もいます。

「身内で法人を1つ作ってそこに遺贈すれば、相続税が安くなるのでは!?」

残念ながら、特例により、遺贈を受けた法人は個人とみなされ、相続税が課税されてしまいます。

ケース③ 相続人が、遺産の一部をお寺に寄付した

この場合、関係する税金は「所得税」と「相続税」です。

「所得税」については、しつこいようですが「寄付金控除」の対象外です。

一方、「相続税」ですが、②の場合とは少し取扱いが異なります。

遺贈の場合には、被相続人から直接お寺に寄付されるのですが、相続人が寄付する場合には、被相続人から相続人へいったん現金が相続され、その相続財産の中から現金をお寺に寄付することになります。

つまり、いくら相続財産として受け取ったお金をお寺に寄付したとしても、相続財産を受け取った事実に変わりはないので、相続税が課税されてしまうのです。

ただし、これには例外規定があります。

その寄付先が、国や地方公共団体、公益を目的とする事業を行う法人又は団体、認定NPO法人・・・などの場合には、寄付したお金は相続財産から除かれます。

ただし、相続税の申告期限までに寄付をしないとこの特例は受けられないので、注意が必要です。

さらに、上記のような寄付先に寄付をすることにより、寄付をした相続人の確定申告において、「寄付金控除」が使えます。

まさに「一粒で2度美味しい」ですね。

ちなみに、お寺のような宗教法人は上記の例外規定には当てはまらないので、相続税は課税されます。

本日のまとめ

いかがだったでしょうか?

寄付先や寄付をするタイミングにより、税金のかかり方は違ってきます。

「別に税金の恩恵を受けようと思って寄付するわけじゃないから」という方ももちろんいらっしゃると思います。

しかし、せっかく善意で寄付をしたのに思いがけない税金がかかってしまったのでは、後味の悪いものです。

本日は現金の寄付についてのみのお話でしたが、これが不動産の寄付などになってくると、取扱いはさらに複雑になります。

寄付をお考えの方は、専門家に依頼されることをおすすめします。

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